5月11日、日曜日。ラバーズロック関連のレコードと一緒に仕入れた『Bugs On The Wire』に針を降ろす。イギリスのBBCで1984年に始まったラジオ番組「On The Wire」40周年に際しての再発盤(オリジナルは1987年リリース)。司会者のスティーヴ・ベイカーによる選曲はずばり、ポスト・パンク。冒頭のダブ・シンジケートこそニュールーツ的だけれど、以降は鋭いギター・リフとベース・ライン、扇状的なヴォーカル曲が多くなる。リー・ペリーの曲もいわゆるレゲエじゃなく、ニューウェイブ風味である。
ペリーに続く2曲、ザ・リバーサイド・トリオとロンダなるバンドはアメリカン・ルーツ・ミュージックみたいで、これはこれでカッコいい。面が変わると、レゲエ~パンク的重力を拒否するかのような鍵盤重視の楽曲が続いていく。80年代っぽいリズム、手ごたえを得づらいヴォーカルが続くのだが、嫌じゃない。むしろ、興味がわくのはなぜだろうか。
ことに英国におけるダブ解釈は、ポスト・パンクの母国として、その影響が多層的に、越境的に広がり、独自なものへと発展していったがゆえに興味深い論を生み出している。(野田努)
河村祐介(監修)『DUB入門』所収、野田努「レゲエとパンクは似たもの同士ではない──UKでのDUB論の展開」には『Bugs On The Wire』を紐解くためのヒントがある。重要な「論」に関してここで触れる余裕はないけど、ビビッとくる感触だけでも伝えたい。ジャマイカとイギリス、レゲエ~ダブとパンクの関連性を知るにはうってつけのテキストなのだ。
スリッツ、ポップ・グループ、パブリック・イメージ・リミテッド等々のバンドとデニス・ボヴェル、エイドリアン・シャーウッド周辺の関わり方を知っていくには、まだまだ、多くの時間が必要なのは間違いない……。
今日は17時までの短縮営業! お時間あればご来店ください。