2018/02/15

『THE DIG』vol.7


音楽雑誌『THE DIG』1996年7月号、特集は「モッズが愛した音楽」。監修者は山名昇。
冒頭に置かれた“モッズへの視座 1996”、山名氏の10ページにも渡るクールな蘊蓄に胸がざわつく。イアン・デューリー、キンクス、ギャズ・メイオール。ジョージィ・フェイムやプリンス・バスターも忘れちゃいけない。とにかくカッコ良いことばかり、並んでる。「言われるまでもなく、映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』の中で、メンバーが夜のクラブに遊びに行くシーンのリンゴの踊りを見るにつけ、あぁこいつら全然モッズじゃないな、と思うのだ」なんて書ける人が、他にいるか。

“彼はとても知的でセンスがいい。ただ彼自身は独創的なスタイルを持っているわけでもなければ、何かを作り出すことの出来る才能を持ち合わせているわけでもない。ただ彼に出来るのは、数多くある物の中から、センスの良いと思われるものを選びとることだけなのだ。”(*)

自分をモッド(モッではなく)の勘所に導いてくれたのは、小西康陽だ。小西氏による二本の短文、“山名昇氏を讃える。”と“身だしなみに無頓着であることが許されるのは。(*)”の収録部が名著『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』の一番美味しいところだと、信じている。若者はかならず読むべし。そうして憧れ、惚れ込んだものには存分にかぶれて、恥ずかしいくらいにカッコつけてほしいと思う。

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