2014/10/10

『VU』



小さくてシンプルな詩集が現れた。やはり、これは出来事であった。若くまだ無名の詩人たちは、もう秋刀魚を焼きながら遥かな巴里を想うことは止めにしていた。家に帰れば着物姿の彼らも、銀座のカフェでエリック・サティを聴きながら暇をつぶしていたのである。そんな彼らのもとに、このスタイリッシュでシンプルな詩集はやってきた。レスプリ・ヌウボオの風の匂いをさせながら、である。-内堀弘(『ボン書店の幻』より)

『VU』(ヴュウ)はこんな風にボクの手元にやってきました。突然。何の前触れもなく。
創刊号の特集は「modern」。ここには確かに風が吹いています。時代を越えて、生きた声を聴かせてくれます。
そう、この雑誌はインタビュー・ブック。「名古屋をはじめ、東海エリアにおける様々な時代とそこに生きた人々の声を証言として記録する」ための紙束です。編者の美学が反映された人選とそれぞれの対話(あるいは独白)は、読み手に「いま、自分はどう生きるべきか?」 という問いを静かに鋭く突きつけます。油断をするとグサッと刺されそうな気配があります。

声高ではないし、分かりやすいわけでもない。
だけれど、ここには血が通っている。斬ったら真っ赤になるはずだ。生きた人間と同じだ。
そんな雑誌にボクは出会いたかったんだし、店にも置いておきたいんだ! と叫びたい衝動をぐっとおさえて並べています。
是非、あなたに見つけてほしいと思っています。

***


VU nr.001 modern
サイズ A5
本体 144ページ 図版75点(一部カラー)他テキスト
別冊  36ページ フルカラー図版多数
スリーブ付属
発行:2014年5月 部数:300 価格:2000yen(+税)
目次:
本体:
Surrealism and Japan and the world Text by 笠松リヨタ(ミュシカ
本が在る世界 湯浅哲也(コロンブックス
楽器、身体、テクノロジー Text by 鈴木悦久
創造の屋根が鳴る 森田太朗(KDハポン
グッとくる。ズシッとくる。 湯地信愛(レインルーツ
倫理として Text by 高倉一修
洋酒と喫茶 ルル(近代都市の痕跡#1)
別冊:
七ツ寺共同スタジオとその周辺 1967-

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